青砥の面直しは平面砥ぎに備えて念を入れてしたのですが、薄刃が砥石にくっついたときはもう赤丸を付けた中央部は平面が崩れていたのか青砥の端の方しか包丁がくっつきませんでした。数年前砥石と包丁をくっつけた組み合わせは人造の6000番と青紙2号の薄刃本焼き包丁でした。
もうずいぶん前ですがテレビでかんなの刃を黄色い巣板の仕上砥石にくっつけて砥石を持ち上げた映像を見たことがあります。仕上げかんなでヒノキの柱を削りその削りくずをマイクロメータで測定してその薄さを競う大工さんの大会に出場する選手が大会前に見せたパフォーマンスです。
一般に包丁を研ぐ技術は本焼きの方が地金軟鉄と刃金を合わせた霞より格段に難しいように喧伝されネットにも書かれています。私見ですが本焼きの方が簡単です。霞は硬度の違う金属が組み合わされており、均一に圧力を加えてもどうしても軟らかい地金の方の減りが多くなります。対して本焼きは均一な硬さの刃金だけなので研ぎムラがあまり起こりにくいのです。硬いので気長に研ぐという心構えがあれば本焼きの方が研ぎやすい気がします。とりわけ平面砥ぎのようなシビアな研ぎではそうです。カスミ包丁で完全な平面を作りその証明として砥石と包丁をくっつけることは自分の腕では無理かも知れないと思っていました。仕上げより砥粒が大きくその分空気が入りやすい青砥でできるとまでうぬぼれていません。偶然にしろ今日の自己満足は大きかった。
写真ですが撮影には苦労しました。20枚以上撮リました。カメラを床に置き右手で包丁と砥石を持ち合げ左手でシャッターを押すのですが、ファインダーを覗けないので写っているか確認できないのです。右手の手ぶれや被写体を画面の中央にとらえているかなどを満足した写真は3枚だけでした。もうかなり薄くなった青砥を高く持ち上げると、床に落とした時割れるかもという懸念もありました。いくつかの偶然が重なってできたのがこの写真です。お願いします。ようく見てください。