2008年5月4日日曜日

深みのあるお茶は深みのある急須で作られる

急須を使った後は中の残った茶葉を水でゆすいで水切れのためにふたの方を下にして南向きの窓に置きます。ある日ビール樽型の急須と以前の急須が並べておかれていました。座った目線で下から見ると胴の深さに気づきました。ビール樽型の急須が胴が深いのに初めて気がついたのです。急須の深さ、深さとくり返し、川で潜った少年時代、深く潜ると水中メガネのゴム枠が顔を強く圧しつけるを思い出しました。前にも書きましたが、お茶は急須の胴の一番底に位置するのです。そうか深さは水圧を意味する。お茶の場合は湯圧だな。高い圧力は茶葉の抽出成分を少し変えてなおより味が濃くなる。つまり自分が感じていた深みのあるお茶となったのかもしれない。何メートルも潜れば水圧を意識するかもしれないが、たった1cm程度で抽出する湯茶がこうも変わるのかという疑問が残りました。
そこで所有する全部の備前焼急須とビール樽型の備前焼急須の胴のたけくらべを実施しました。結果はほかのどの急須よりもビール樽型の備前焼急須の胴のほうが深いのです。ビール樽型の備前焼急須はわりとずんぐりしていて今まで深さに気づかなかったのです。そしてまだわからない事が出てきました。

 深さが深みのある味の決め手なら何も備前焼急須でなくても縦長の胴を持つ急須ならもっと安い上薬のないばんこ焼きや常滑焼でも同じく深みのある味のお茶を入れられるのではないか。そこですぐにビール樽型の備前焼急須より深い胴を持つ常滑焼の急須を買い求めました。試飲の結果はお茶のアクのようなものが感じられてさらに深みのある、茶の木の新芽を噛んだような味に近いお茶を入れられたのでした。その深い胴を持つ常滑焼の急須は3000円と安く陶芸家が遊びで作ったひょうたん型をした急須でした。長くお店に並べられ安くしなければ売れないと決心した店主が値下げした急須でした。一応横手の取っ手もあり日本式の急須でした。しかし何ヵ月後に落として割ってしまった。滑りやすい常滑焼だったのと秘密が解明した以上大切にしなければという気持ちが薄かったのかもしれません。やはり同じ深さなら常滑より備前のほうがおいしいお茶が入れられもう一度常滑を買おうという気持ちにはなれません。
もう新茶の季節です。急須の胴が深い急須で試飲するのもいいかもしれません。ただあくまで個人的な嗜好の問題です。おいしいとはおいしいと感じた方が決めるものなのです。

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