さて23時の誰もいない墓地です。両側サービスしてもらった石製の灯篭と上二つのガラス製のローソク立てに火を入れました。ガラス製のローソク立ては石製の灯篭が出来たら持ち帰り実家のお墓に移すつもりでした。明るさが断然優れているので残すように決めました。深夜四本のローソクの灯明は自分のお墓だけに明るくともっています。この広い霊園を夜の海に例えれば、ご先祖や船を導く灯台のようです。10代20代とさかのぼれば何百もあるこの霊園のお墓でご先祖様が共通するお墓も必ずあるはずです。どこのどなた様のご先祖様かは存じませんが。他のお墓で休んでおられた古い私のご先祖様もこの明るい灯明でこちらに来て下さるかも知れません。
私の墓の強みはお骨がなく何のしがらみもない新築の家ということでしょうか。供養の回数も真心も自信があります。お墓が外界と赤土でつながっているのは安い小さいお墓ではここだけのはずです。周囲のお墓はコンクリートと分厚い花こう岩で密閉され熱がこもる息苦しいお墓です。真夏の直射日光も赤土の水分で内部の温度を下げるはずです。そんなわけで加護して下さるご先祖を募るためにも大きな霊園を選んだのは良かったかもしれない。すこし気味が悪いですが、他に墓参者がいない分深夜の墓参は功徳が大きそうです。見たことはないのですが火の玉や幽霊が人に危害を加えたという話は聞いたことがありません。おまけに片側2車線で交差点では片側3車線4車線になる高速道路のような霊園までの道路は車が少なく事故の心配がほとんどありません。深夜の燈明と墓参はいいとこずくめです。

