挨拶もそこそこに舌の診察から始まった。やはり前の先生と同じくガーゼ2枚使って舌を2度上に引っ張ってめくりました。「もうお聞きと存じますが癌です。」このとき心の中に黒い大きな枠、囲いのようなものを見ていた。その隅っこに影絵のような人がうなだれた人がいて、囲いの外にもう一人の影絵が中の影絵に「そうかお前癌なのか。かわいそうに。大したことないので気に病むな」と話しかけてきたのです。C先生「癌ですよ。意味わかりますよね」で影絵の世界から癌告知確定の現実に引き戻されたのです。「それにしても開業医A先生の技量は飛びぬけていらっしゃる(在野の町医者でこんな方がいらっしゃるとは驚きました)」「私の舌癌の場所がなぜ見つけにくいのですか」「場所が舌の下の最奥にあります。血管でデコボコしていて舌を上に引っ張っても目線と垂直面にならない。舌癌の診断は潰瘍を探すのですが、○○さんの場合潰瘍の周囲のギザギザが小さく色も露出した潰瘍部とギザギザの外とそんなに変わらない。少しの唾液があるだけでもう区別がつかない。私の場合はC先生が貸してくださったプレパラートで癌があるのは確信しているし、潰瘍の場所も紹介状で分かっていたのですが、一度舌をめくっただけでは確認できませんでした。開業医A先生は癌があるかどうかわからないのに長い集中力を以って辛抱強くお探しになったのです。このがんは心配いらないと見逃されて癌がもっと大きく悪化して発見されるパターンです。舌の奥、舌の付け根付近にありますからもう少し症状が進めば舌の全摘出になるところでしょう。あなたは良い先生にかかわって幸運です。」なんとなく初期癌を連想する言い分でした。
明後日15日にCTスキャンの予約を取ってもらった。MRは大学の予約が満杯で1カ月先だったので病院のお隣のPETとMRI CTスキャン専門の民間病院でMRIの予約を取ってくれました。
何か質問はないかというので、舌の癌はよそから転移、飛んできた癌ではないですかと一番恐れていたことを聞いた。舌癌はほとんど原発癌です。後でMRI PET検査で詳しく判明するが舌が原発癌でしょうと言われました。もうひとつは診察の契機となった声帯の痛みです。喉や声帯に癌ができていませんか。C先生は口から咽をみて「ご安心ください。咽喉には何もありません。発声時には動かすのは声帯と舌の奥ですから舌が痛んだのでしょう」口から見て咽がわかるのかと考えていると「ご不安でしたら鼻から入れて咽喉を診る内視鏡がありますからすぐに確認します」鼻の奥の少しの抵抗で内視鏡の先端が咽喉に落ちたのを感じました。上部と下部を先端部の電球で確認して「やはり咽喉には何もありません」「私もお聞きしたいことがあります。生検を取った時の局所麻酔はさぞ痛かったでしょう?」「腹の底から悲鳴が出るほど痛かったですが、麻酔はしませんでした。」痛かったでしょうとからかうようにいっていました。C先生は患者が痛がるのが大嫌いなのです。霧の麻酔を多用して局所麻酔ですら痛くないようにしてくれます。驚いた顔で「なんですって麻酔なしで舌の生検を取ったって。。。。。。。。聞いたことはありません。普通は麻酔して舌の生検を取るのが耳鼻科の常識になっていますが、麻酔などしないほうがいいに決まっている。あなたの癌は発見しにくく生検を取るのが大変な場所にあるのです。痛がる患者をあやしながら患部を挟むだけでも至難の業です。チャンスは一度しかなく、正確に一回で癌の標本を打ち抜いているのはこの標本プレパレートが証明している。私なら患者が痛がることを考えて手が震えてとてもできない」それから表題のようにA先生は神技を使ったの発言でした。C先生は自分の眉間を人差し指と中指で押さえてしばらくうつむいて固まってしまったのです。確かに標本を取るチャンスは1回だけでしょう。もう一度させてくださいと言われても無理です。他の舌癌関係のスレを見ても麻酔して確実に癌を捕捉できるように2回は生検を採取するようです。「でも先生、生検を取るまでは痛いのは食事のときだけでしたがあれ以降食事以外でもいつも痛いのです。感謝はしていますが」患者が痛がるのが大嫌いで耳鼻咽喉科の教授になれば私が住んでいる広い地域の指導的立場になるのが確実なお立場で町医者のA先生の技量を素直に褒めるC先生も良い先生と思います。医師も最後は人間性です。他人の痛みを知ろうとしない医師に看取られて死にたくはありません。A先生を褒めるのを聞いて少しさわやかな気分になりました。夢のように頭に出てきた枠の外の黒い影絵の人はわが先祖の御霊のような気がします。
C先生のB大耳鼻咽喉科の動向は私の生検を返しに行ったときB大出身の知り合いからA先生が聞いてくれたようです。現在の耳鼻咽喉科のトップであるたった一人の教授は最近の兆候として腫瘍・癌専門外科医だそうです。C先生も癌専門外科医で耳鼻咽喉科NO2だそうです。現在の教授が退官するとき当然のようにC医師を後がまに指名すると誰もが考えているようです。
2012年4月15日日曜日
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