実家の仏壇にある過去帳には、明治から昭和の戦争前まで数人の未成年の子供が死亡したとの記帳があります。医療制度衛生等が現在より見劣りするこの時代、この数人が多いか普通かは詮索は止めますが、成人前に数人がなくなっているのは事実です。我家の不幸の後、たまたまご近所の不幸が発生して、その家の方が我が家の子供を苛めたからとかのうわさが囁かれたのでしょう。実家の先祖のみ霊と近所のご不幸と関連付けられたのだと考えます。結果○○の先祖は怖いという噂が広がったのでしょう。そうでなければ私に対するお年寄りたちの態度が説明できません。どう考えてみても異常だったのです。お年寄り達が私の何かを怖れていたとしか説明ができません。
「まったく大変な子が現れたものよ。」
「お寺の和尚に聞いたが、○○が赤ん坊の葬式を相談したのは本当らしい」
「生まれて間もない子が重い肺炎にかかると大抵は助からないのに」
「やはり○○の婆さんが言うように先祖が呼び戻したのかもしれない」
「先祖が許さないもご先祖があの子を護ろうとして言わせているのだぎゃ。」
「あの子に万一のことがあれば○○の先祖がどれほど嘆き悲しみ俺たちがどんなトバッチリを受けるやら」「子や孫に類が及ばないようにするにはどうすればいいんだ」
△わけしり爺さん△「○○のご先祖に睨まれるのを逃れるにはこちらが悪く思っていない歓迎しているよと笑顔を見せること。あの子と仲良くなったりして係わりを待たないこと。相手は子供だしどんなことで傷つくかわからない。為を思って言ったことでも傷ついて恨まれるなどとかかわり合いは災いのもとだよ。かかわりを持たないのが一番だ。係わりあいがないのに○○のご先祖も苛めたと思わないし道連れにしようとも考えない。これに尽きる。」「そうだ、誤解された恨み事をお墓の前で呟かれたらと思うと寝れないよ」「だから顔を合わせると笑顔を見せる。かかわり合いを持たないに限る。あの子を叱るなんて論外だよ。家の者にもきつく叱るなと言っているよ。」
△わけしり爺さん△
「まだ時期が早いのだが、あの子に熱心に先祖供養をさせないようにすることだな。あの子の父親にはうまくいった方法だが。あの子が小学生になる頃始めないとな。先祖供養から遠ざけるようにしないとまた犠牲者が増えるかもしれない」
「先祖供養から遠ざけるうまい方法なんかあるのかい。」
-訳知り爺さん-
「三つ子の魂百までというだろ。自分の考えを持たない年齢から心に刷り込みをするんだ。2、3人の協力者がいるが。この辺では誰も恐がって実行に移す人はいないだろう」 近所のお年寄りたちの方針はこんなものだったと想像します。 我が亡父が先祖供養を終生嫌っていたのもご近所の方が企んだ子供時代の心へのスリコミによるものだったかもしれない。卵から出てきたばかりのヒヨコに動くものを見せるとそれが親と勘違いする現象です。先祖などいないと大勢の大人を使って言いくるめる方法です。亡父はともかく自分はそれに引っかかったようです。どんな理由があるとしても先祖の御霊など存在しないと考えたのも最後は自分の選択です。自分が決めた判断です。
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