2008年8月23日土曜日

聞いた自分が悪かった天然ダシの3杯酢

10年前まで夏には鮎釣りによく行きました。お気に入りの川があり同じ民宿に投宿していました。お気に入りの川は皮に脂が多く一番美味しい鮎が取れる川でした。魚のコラーゲンを多く含んだあの鮎は美味しかった。ひいきの民宿は料理が美味しいからです。民宿の若主人は東京の日本料理店で数年板前修業のあと郷里に帰り跡を継いだ方で本格的な日本料理を振舞ってくれました。数年も通うと本当の友人になりました。話題で盛り上がったのは子供時代に川で取ったうなぎの話だった。釣った鮎を渡すと夕餉の膳には化粧塩した焼き鮎とタレを付けてくれました。そのタレの美味しかったことは今も唾液がでます。とにかく薄味で淡白繊細な鮎の風味を盛り立てる味でした。当時は料理もしなかったし包丁も砥げませんでした。とうとう言ってはいけない事を聞いてしまったのです。鮎のタレをどのようにして作ったのかと。すぐに教えてくれました。酢と醤油を等倍で割っただけだと。家に帰ってからそのとおりにしても当然民宿の味には似ても似つかないものでした。酢のケンが強すぎ色が茶色なのです。民宿のは本みりんのように薄い黄金色でした。酢と醤油を等倍で割っただけではどうしてもそうはなりません。次に民宿に泊まったとき「等倍ではこうはならない」というと「そんなことはない。」うつむいてしまった。聞いてはいけない事をしてしまった自分が悪いと考えています。その方はそのタレの作り方をマスターするまで何年もつらい板前修業に耐えたのです。

2種類のカツオ節を用意します。
左の色が黒いのはソーダカツオ、右が高価な本枯れです。
濃い目のダシです。ソーダ鰹を多めに入れました。濃厚な味になりました。
出汁を二等分するのがミソです。左のダシに穀物酢を入れます。味見しながら慎重に酢を加えます。たぶん民宿で出されたタレはこれに一滴ほど醤油を垂らしたのでしょう。色もこんな感じでした。化学調味料も入っていたのかもしれません。これには入れていませんが。酢を入れすぎた時は半分のダシで薄めます。
醤油を慎重に加えます。今回はほとんど味のない里芋の芋茎なので濃い目に入れました。右のダシだけのは調合に失敗したとき薄めるためのものです。
本枯らしからは香りを引き出しソーダは旨みが勝っています。この二つをミックスさせました。とにかく冷蔵庫で冷やしても旨みは変わらなかったし芋茎の茹で汁と混ざって三杯酢の旨みが増したようです。

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