2009年1月23日金曜日

4年ぶりに新しい包丁を買いました(和包丁も適材適所ならぬ適材適丁)

 和包丁にはそば切り、鱧の骨切り、ウナギなどに代表される食材専用の包丁があります。テレビによく出てくるのはマグロ解体用の包丁でしょうか。日本人が器用といっても中華のように一本の包丁で肉、野菜、麺、魚など何でも料理しようとはしません。和包丁が食材に歩み寄った結果、ある食材専用の包丁へと進化させたのです。包丁が食材に歩み寄ることでより効率的に手の込んだ調理ができるようになりました。皮を残して硬い小骨だけを切って食べやすくしたハモ骨切り包丁はお客にもてなしの心が伝わる繊細なハモ料理を提供できるようになりました。包丁が食材に歩み寄った京料理を代表する一品です。

 私も一応和包丁3点セット出刃、刺身、菜切りと3種を持っています。刺身が嫌いなので出刃、刺身はほとんど使わないでもっぱら菜切りの片刃と黒い中華包丁のような菜切りを使っています。
 今回買ったのは片刃の菜切り包丁ですが、もっと短い小さいサイズです。菜切り包丁は大根のかつらむき、ハクサイなど大きい野菜を切るために刃渡り18cm以上の長い刃先があります。そんな刃先全部を使った料理は年に数えるほどです。毎日使うのは柿、リンゴなど果物の皮むきです。下の写真は刃渡り18cmの菜切り包丁ですが、皮むきに使っているのは赤線で囲んだ部分です。これでは効率が悪い、手元の少しの部分が摩耗したために研いで包丁全体をすり減らしているようなものです。ぺティナイフのような和包丁があった方がいいと欲しくなりました。





 下が本刃付けをしていない自前の砥石を当てていない買った包丁の裏です。緑の線の部分に裏押しが全くありません。表ではコンマ1ミリほど刃先を飛ばしています。実際この緑の線以上に研ぎこまないとよい刃金が出てきません。

 従来の包丁とニュー包丁を並べました。右の長いのは刃渡り17.5cmで買った包丁は13.5cmと4cm短いだけですが研ぎよいし厚みがなく軽いのでとても楽に自由に動かせます。全く別種の道具のようです。それに刃金、青紙2号ですが幅が広いのも気に入ってます。しのぎと刃先の幅の半分近くが刃金です。

このお店ではこの店頭に飾っている状態から板前さんの砥ぎの先生である店主が本刃付けをしてくれます。当日も数本の和包丁を布の袋に入れた調理師らしき人が晴れ晴れとした笑顔で店主にありがとうございましたと礼を言ってお店を出て行きました。研ぎ技術の何かを得たようです。本刃付けは考えがあるので自分でしますと断りました。店主に任せるとハマグリ刃をつけるからです。料理に使うなら同然ですが。反対意見を何もおっしゃらなかったのが気分を良くしました。とても人のよい方なのです。白紙1号本焼き包丁を買うときはとても硬い、とぎ汁が出ないからやめた方がよいと言われました。「白紙1号本焼き包丁は滅多に買ってくれない包丁で鍛冶職人も大喜びするからありがたいお話なのですが」と私のプライドを気遣って小さい声で言いました。自分が持っていた青2の本焼き包丁を見せるとようやく、これなら白紙1号も研げるでしょうと賛成してくれました。

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