郷里に野生の猿が生息している豊かな山があります。標高300m以下には普通の白く実が開くアケビも自生しております。山の頂上付近は熟しても実が開かないムベ と呼んでいる木質の蔓をもったアケビが多かった。 しかし人家から離れた場所にあるアケビの蔓に熟したアケビの実がなっているのは見たことがありません。秋の熟したアケビの実はお猿さんには大変な御馳走で熟する前にすべて食べられてしまいます。それほど野生の猿とアケビの実は縁が深いのです。
渓流釣りをしていた頃大きな山越えをしないと入渓できないヤマメの多そうな渓流を狙っていました。夏のシーズン中はどうしても山越えのけもの道の入り口が分からず秋になって地元の人に聞いて林道から見えにくい入口を見つけたのです。翌春のシーズンに備えて魚影の量の確認とルートの確認のためそのけもの道を上っていました。けもの道から離れた場所にコブシの花のようにぱっくりと開いたアケビの実を見つけました。猿のいる山でどうしてアケビの実があるのだと思って、蔓の巻きついている木に近づくとようやく合点がいきました。30個ほどの熟した実をつけているアケビの蔓は細かい棘が密集したタラの木に巻きついていたのです。猿はこの棘を嫌がったのに違いなくアケビの実を取ろうとすると必ず手足に鋭い棘が刺さる仕組みになっています。タラの木のおかげで30個ほどの実は代わりにいただきました。
2008年2月と2009年2月22日にこの場所5cm程の地中に10cm程の一本の根を植えました。2008年のは夏まで待っても地上に何の変化もありませんでした。枯れたのです。2009年2月22日埋めたのは5月2日に2ヶ月少しでついに地上に芽を出したのです。日本の野山に自生する山菜の王様、民間療法でその根を煎じたのを飲むと血糖値を下げるとかいう植物です。熱帯のグァヴァではありません。タラの根です。
このタラの木は商品袋の能書きによると品種改良して棘のないタラの木だそうです。タラの棘は猿だけでなく私も嫌いです。皮膚に刺さると折れて中に残るからです。直径3cmほどの太さになるには3年ほどかかるそうです。芽が出た以上は山でも育つタラの木のことですから大きなタラの新芽を天ぷらにするのが楽しみです。機会があれば成長の度合いをまた書きます。
2009年7月4日土曜日
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