2008年9月15日月曜日

バブル崩壊後不動産には買い手がなかった?


 バブル崩壊後の最悪期、山一倒産の頃、株雑誌でバブルの傷が癒えない証券関係者と中小不動産屋の覆面座談会というのを企画していた。その中で一つだけ記憶に残っているのがあります。中小不動産関係者「株はいいよ。どんなに値段が下がっても少しづつなら現金に変えられるから。俺たちは銀行が返済請求した時、処分するなりなんなりお好きにして下さいと居直ったよ」確かこんな内容だったと思う。株は暴落時でも値がつく、つまり株は売り手と買い手がいるのに土地などの不動産は地合いが変化したと感じた時には売り物ばかりで買い手が一斉に引っ込むというのである。でも私はある面ではそうですが、この座談会の発言のように換金性が全くないとは思いません。正確には出席した不動産関係者の土地が売れない、換金性がないだけで当時でも一戸建ての住宅は新築されていた。つまり住宅地を買う買い手があったのは疑いようがありません。


 この中小不動産屋は不動産売買を活発に繰り返してきたプロでしょう。バブル時は銀座の女の子にポンとマンションを買い与えるほど景気がよかったのかもしれません。バブルの初期は自分には別世界のことで不動産のことは知りませんが、現在の東京都心部のマンションのように駅近くや便利の良い一等地から値上がりが始まったと考えて間違いはないでしょう。この中小不動産屋も手持ちの一等地を3割程度で利食ったのでしょう。プロですから入ってきたお金で次の不動産を買わなくてはなりません。一等地は一斉に値上がり一段目の天井を付けていますから、もう一度の上昇を狙えばライバルの不動産屋を喜ばせるだけで再度利食うまで時間もかかります。より安全で確実なのは、まだ値上がりしていない一等地の周辺の土地でしょう。こうして一等地から郊外へと値上りのドーナツ現象が発生してバブルの絶頂期には、この中小不動産屋の在庫は、普段なら見向きもしなかったへんぴな郊外のどうしようもない土地の可能性があります。しかも膨らんだ運用資金をつぎ込むため面積の大きい物件です。バブルの前でもほとんど流動性がなかった土地ですから、崩壊後は買い手など期待するのがおかしいのです。今だから言えるのですが、買いのリスクを考慮して値上がりしていない郊外の物件購入が売りのリスクを増やしていったのでしょう。土地は株のように増えない。需要はある。だから永久に値上がりし続けるという土地神話が信じられていた当時、売りのリスクを考える人などいなかったのでしょう。だから覆面座談会ではそういう口には出せない事情があったのだと思います。


 誰が見ても一等地で一番需要の多いサラリーマン向けの小口の物件なら損を覚悟で値段を下げれば売れるのは間違いがないでしょう。最後に頼みとすべきは実需です。前にも書いたように値上がりの予想が外れることを想定して誰が見ても一等地で大金がないので私の土地は面積の小さい物件です。



続く




 

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